「不正クリック」をネタにした周辺ビジネスに関する考察

リスティング広告の仕事をしていると、必ず耳にするのが「不正クリック」の話題です。

意図的に不正なクリックをしたかどうか、インターネット経由でユーザーの思考を解析する仕組みはまだ開発されていませんので、ヤフーもグーグルも「無効なクリック」と呼んでいますが。

リスティング広告に「不正クリック」なるものが存在する以上、それを利用して商売しようという人が出てくるのは世の必定。今回は、そんな不正クリック周辺ビジネスの話。

不正クリック関連のビジネスとしては、大別すると2種類の業者が存在します。

不正クリック業者

リスティング広告を不正にクリックして競合他社の広告予算切れを誘発し撤退に追い込む、というサービスを提供する業者。(アドセンスをクリックしてくれるサービスというのもあるようですが、今回は広告を出稿する側から見た話ですので触れません)

そのようなサービスの利用は倫理的にいかがなものか、という点については改めて説明する必要もないと思いますが、事の善悪を別にしても、ひとつ根本的な問題があります。つまり、

競合他社の広告がクリックされたかどうか知る術はない。

仮にあなたがコンバージョンが獲得できない精神的苦痛によってフォースの暗黒面に堕ち不正クリック業者を利用したとしても、彼らが競合広告を何件クリックしたのか、どれだけのクリックが最終的にヤフーやグーグルのフィルタリングをすり抜けたのか、偉大なるジェダイ・マスターの力を以ってしても知ることは不可能です。

契約して入金後、業者が何もせずに「やりました」と言ってきても信じるしかない世界。

結論。

倫理、費用対効果の両面から、不正クリック業者は決して利用すべきでないと言っておきます。

不正クリック対策業者

リスティング広告の不正クリックを識別し、ブロックすることができると謳う業者です。

多くの人が誤解している点について念のため注意喚起しておくと、

不正クリックの「ブロック」とは、課金されないという意味ではない。

ヤフーリスティング広告もアドワーズも、広告がクリックされた時点で課金されますから、クリック後、ユーザーがリンク先URLに遷移した後で不正クリックと識別しても、その時点で「課金されないように」ブロックすることはできないわけです。要注意。

不正クリック対策業者を利用する場合には、彼らの言うところの「ブロック」の意味、不正クリック識別ロジックの詳細、そしてその精度を事前に確認してから契約するようにしましょう。複数の広告のリンク先を比較検討した上で「再クリック」してくる優良な見込み客まで「ブロック」されては最悪ですから。

個人的な意見を述べれば、不正クリック対策というよりもむしろ、一種のアクセス解析サービスという認識で利用すべきものだと考えます。

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